料理の本の仕事

プロの撮影現場

10年くらい前、出版社からの依頼で、ちょっとだけ料理を雑誌に載せたり、本を出したりした時期がありました。

その撮影のために料理を作ることは、やりがいがあったけれど、かなりハードな仕事でした。

撮影の日は、2LDKで67uの我が家が、スタジオのように様変わりし、緊張した空気が流れ、ちょっとわくわくした気持ちにもなりました。

撮影スタッフも大人数で、まず、カメラマンと助手、編集者(ライターが加わることも)、スタイリストと助手、私と助手(お手伝いの生徒さん)、というように総勢8名くらいでやります。

2LDKの中の1部屋は、スタイリストさんがお皿や小物、テーブルクロスなどを部屋一面にきれいに並べて順番を待つのに使います。もう1部屋と玄関ホールは、カメラマンの方の機材で一杯になります。そして、リビングダイニングは、撮影用のテーブル、ライティングなどが大きくセットされ、ダイニングテーブルには料理や道具が所狭しと並べられます。

出来上がった料理を、撮影用のテーブルに運ぶと、特別のライトの光を浴びて美しく浮かび上がり、まるで別のもののように見えるので不思議でした。カメラマンや助手の人が、ドライアイスの煙を吹きかけて湯気が出ているように見せたり、飲み物の入ったグラスの表面に霧吹きをかけてみずみずしさを出したり。それから、絵の具の筆で野菜にサラダ油を塗って艶を出したりなど、色々な技を使ってますます変身していきます。

まず始めに、ポラロイドで撮影。
出来上がった写真の構図などを編集者と私に見せてくれて確認。さすがにプロのカメラマンとスタイリストの手にかかると、とても私が作った料理とは思えないくらいすてきな写真に仕上がっているので、びっくりします。

ハードな仕事

カメラマンの方が、1日に撮りきれるだけの数のお料理をこちらは用意するので、1日に10数品作ることもありました。撮影は、朝9時から夜の10時か11時までかかることもあり、2日続けて撮影の時は、2日めの料理の仕込みは、夜中にやったりしました。

撮影のお仕事をいただくと、私なりに全力をかけてやっていたので、無事に終わらせることはできました。
でも、その間、家事をするような余裕が持てず、いつも家のことがめちゃくちゃになってしまいました。

慣れてくれば、もっと要領よくできるのかもしれませんが、新しい本を次々出版されていらっしゃるような料理研究家の方々のパワーと才能は、並大抵のものではないと実感しました。

堀井和子さんの話

以前に、料理写真家の長嶺輝明さんのクッキング・フォトグラフ講座に通っていた時、一度だけ、粉料理研究家の堀井和子さんがゲスト講師にいらして下さいました。

昔から堀井さんのファンだった私は、思いがけず実際にお会いできて大感激!
堀井さんは、たくさん本を出されていますが、ご自身で写真を撮られた本も多く、そのナチュラルなセンスにあふれた写真は、筆舌に尽くしがたいものがあります。

でも、講演では「私は写真は素人で、フィルターもライティングも使えず、いつも自然光で撮っています。」と謙虚なご発言。

そして、「パンは、焼きたての一番おいしい時に写真を撮りたいけれど、カメラマンに撮っていただく時は、一度に何品ものパンを前もって焼いておくのでそれができない。自分で写真を撮れば、1日に1つずつ、焼きたてのパンの写真を撮りためて、1冊の本ができる。」とおっしゃっていました。

それは、本当に私が理想にしていることでした。堀井さんのような素敵な写真はなかなか撮れないけれど、ライフワークとして、自分のペースで料理を作り、写真を撮って、いつか本にしたい、それが私の夢でした。

時代の流れ

とは言っても、世の中、厳しい世界。 
クッキング・フォトグラフ講座に行っても、来てる人たちのレベルが非常に高く、皆さんとてもアマチュアとは思えない方々ばかり。昼間はOLで、夜はフードスタイリストの学校に通って、転職を目指しているような方が多かったのですが、彼女達のキャリアアップ意識は非常に高く、私もずいぶん刺激になりました。

インターネットが普及し、誰でも自由にホームページを作って、多くの方に見てもらえる時代になりました。
このような形で、私のやりたかったことが進みつつあることを、とても嬉しく思っています。
Living room cafe に遊びに来て下さった皆様、
心から、ありがとうございます!

(クッキング・フォトグラフ講座については,Recipe & essay ページの「ドーナツとピロシキ」、Life style ページの「料理写真の撮り方」の中でも書きました。併せてご覧ください。)

2004.7.20


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