

結婚した時、洋食器はドイツのフッチェンロイターのドレスデンホワイトに統一して買い揃えました。白地で周りに少し彫りの模様の入った飽きのこないデザインで、どんな料理にも合うので、とても気に入っていました。
スープ皿、ミート皿、パン皿、デザート皿をそれぞれ8枚ずつ持っていて、普段の食事、お客様のおもてなし、料理教室の時と、すべてのシチュエーションでこの食器を使っていました。
丸や楕円の大皿なども徐々に揃えていき、そのうち何枚か破損したりしてしまった時は、よく似たデザインのイタリア、リチャード・ジノリのベッキオホワイトにだんだん変えながら、10数年間ずっと愛用し続けてきました。
(上の左側の写真中、上がフッチェンロイターのスープ皿、下がリチャード・ジノリのミート皿です。)
ある時、心境の変化があって、もっとシンプルな食器に憧れるようになりました。長年使い続けてきた食器に加えて、そろそろ別の種類のお皿がほしいと思い始めていた頃でした。そのきっかけとなったのは、一昨年の北欧旅行の時でした。
マイレージが貯まっていたのでJAL便で行ったのですが、北欧への乗り入れがないのでドイツのフランクフルトまで飛んで、そこから陸路でデンマークへ行くことになりました。 そのため、到着した日と帰国する日に1泊ずつフランクフルトに滞在したのですが、現地に住んでいる日本人の友人夫妻が温かいホスピタリティを持って迎えてくれて、とてもお世話になりました。
フランクフルト滞在中は、車で空港、ホテル、駅などの送り迎えや観光におつきあいをしてくれて、それから2度、奥様手作りの美味しい夕食をご馳走してくれました。子どもの時からドイツで育ったご主人は、日本語もネイティブなので日本で会っていた時は気がつかなかったけれど、ドイツでは、私が車の乗り降りをする時に風のように自然にドアを開けたりしてくれるので、やはりレディーファーストの国に育った人なんだなと実感。
フランクフルト郊外の高台にあるお宅は、それはそれは素敵なセンスのモダンなインテリアでため息が出るほどでした。
初春のホワイトアスパラガスの季節で、お皿に茹でたてのおいしそうなアスパラガスを山のように積んで出してくれました。始めはとても食べきれないと思っていたのに、あまりのおいしさにたくさんいただけて、正統派の食べ方、ソース・オランデーズとの相性もぴったりでした。

左: フランクフルトの八百屋さんで売っていたホワイトアスパラガス
右: ホワイトアスパラガスの畑 (以前にフランスに行った時に撮った写真です。)
ホワイトアスパラガスは、伸びてきても土をかぶせて光に当たらないようにして白く育てるので、畑は土の山が長くつながっているような形をしています。日本では昔から缶詰でおなじみですが、やはり生を茹でたものはおいしくて別のもののように感じます。最近、日本でも細めのホワイトアスパラガスを見かけるようになりましたが、ドイツのはすごく太くて濃い味がしました。
友人の家でいただいた夕食で、7種類のハーブで作るグリューネ・ソース(Grüne sauce=緑のソース)を、茹でたじゃがいもにかけたお料理も印象的でした。グリューネ・ソースは、ヨーグルト、サワークリーム、マスタードなどとハーブ類を一緒にミキサーにかけて作りますが日本では食べたことのない、独特のいい香りがしました。近くの八百屋さんでこのソースに使われる7種類のハーブを1包みになって売っているとのことなので、帰国する日にその八百屋さんに連れて行ってもらいました。残念ながら、ハーブは品切れでしたが、ホワイトアスパラガスをたくさん買って帰りました。
帰国後に、友人が左のようなグリューネ・ソースの材料とレシピをメールで送ってくれました。画像をクリックすると拡大しますので、ご覧ください。
7種類全部のハーブを手に入れることはできなかったけれど、紀ノ国屋で買える範囲のハーブ類を使ってグリューネ・ソースを作ってみました。でもやっぱり何かが足りなくてあの香りとおいしさが出せなかったので、今では、フランクフルトでしかいただけない幻のソースみたいに思っています。
フランクフルトの友人宅では食事の時、銘々に直径35cm近くはあるような大きな白いお皿が使われていました。何も模様の入っていないプレーンな形だけで美しいお皿で、そのシンプルなスタイルの中にこの上なく洗練された魅力を感じました。
同じお皿をドイツで8枚買って帰りたいと一時は真剣に考え、お店まで連れて行ってもらいました。でも、大きいのでディッシュウォッシャーに入らないと聞いて、毎日のことを考えると私には扱う自信がなくなって、あきらめました。(収納スペースと使い道の都合から、私はお客様専用の食器は持たないことにしています。)
帰国してから、シンプルな白いお皿を探して色々お店を回ってみました。プレーンなお皿だけに微妙な質感やデザインの違いでずいぶん印象が変わります。その中で出会ったドイツのカーラ(KAHLA)のお皿を気にいって、購入しました。(上の右側の写真です。)
お皿の大きさは以前から使っていたものと同じサイズで、ミート皿、ケーキ皿、スープボールを8枚ずつ買い揃えました。
今後、食器に対する好みがどのように変化していくかはわからないけれど、今は、シンプルな白いお皿に心惹かれています。
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