沢煮椀と出し茶漬け

私の家族は、うちのお吸い物の味がとても好きで、夕食にお吸い物があると幸せそうに食べてくれます。特に、うちのだしが美味しいと言ってくれます。
煮物などする時は一番だしとかとらずに市販のだしを使ったりすることもありますが、お吸い物の時だけはだしの味が大事なので、昆布とかつお節でとります。
とはいっても、西洋料理のブイヨンを作るのは手間と時間がかかりますが、日本料理のだしって、ほとんどお湯を沸かす時間でできてしまうので、簡単です。
鍋に水と昆布を入れて火にかけて、沸騰直前になったら昆布を取り出し、沸騰したらかつお節を入れて火を止めて待つこと1分。それを漉して出来上がりです。

私の場合、昆布やかつお節は特別な美味しいものを取り寄せたりしているわけではありません。ただ、こだわっているのは常に新しく開けた袋のかつお節を使うこと。
でも、だし用のかつお節の袋って、どうして大きいものが多いのでしょう。一度袋を開けると、たとえ冷蔵庫や冷凍庫で保存しても、どうしても味が落ちてしまい、袋を開けたての時の味にはかないません。仕方がないので一袋全部でだしをとって冷蔵庫で保存しても、次の日やその次の日にだし汁を使うお料理を必ずするとも限らないし、お吸い物のように味がはっきり出るものは、やはりとりたてのだしを使いたいです。

そこで私は、どこのお店でも売っている一袋5g入りの「にんべんのかつお節」の小袋を使っています。お豆腐にふりかけたりする、あの細かいかつお節です。10袋くらいで1パックになっています。
4カップのだしをとるのに5g入りのかつお節を4袋使います。味付けは、昔習った「
近茶流の日本料理」で覚えた、だし4カップに対して塩と薄口醤油を各小さじ1杯と常に決めているので、毎回同じ味のお吸い物が出来上がります。

もちろん、だし用の大きくて上質なかつお節を使った方がより美味しくできると思いますが、近所でいつでも買えて家に常備してあって、2カップくらいの少量でも、ぱっと気軽においしいお吸い物がいつでも作れるというのは、私にとっては大きいです。予定外に夫が帰って来て食事をとりたいと言われた時でも、かつお節の小袋のおかげで1人分のお吸い物でも気軽に作れます。

美味しく作るこつは、このだしの中で、香りの出る野菜を入れてさっと煮ること。それだけでぐんと味がよくなります。
みょうがのせん切りと卵を入れて、三つ葉を散らした「みょうがのむら雲汁」や、さっと湯がいたせん切りの豚肉と香味野菜で作る「沢煮椀」などは、うちの定番です。また、沢煮椀が余った時に作る「だし茶漬け」も気に入っています。これは、ご飯にあつあつの沢煮椀を注ぎ、あられ、三つ葉、白胡麻をかけたもの。

特別なかつお節ではないけれど、袋を開けたての新鮮なおいしさを大切にしています。



沢煮椀

材料(5人分)

白髪ねぎ、しいたけ、にんじん(せん切り)  各40g
三つ葉(1cmに切る) 少々
豚ばら肉(せん切り) 60g
だし汁 4カップ (水5カップ、昆布20cm、 かつお節 20g)
薄口しょうゆ 小さじ1
塩 小さじ1

作り方

(1)だしをとる。水5カップに昆布を入れて、中火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出し、かつお節を加える。
   火を止めて1分たったら、漉す。
(2)豚ばら肉は、熱湯で霜降り、ざるにあげる。
(3)鍋にだし汁を4カップ入れて沸かし、分量の薄口しょうゆと塩で味を調える。
(4)ねぎ、しいたけ、にんじんを入れてさっと火を通し、(2)の豚肉を加える。
(5)お椀によそい、三つ葉を散らす。




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