Doughnuts and pirosiki
パン生地で作るドーナツは、ふわっと軽くてとてもおいしい。
ベーキングパウダーで作る、どっしりとしたドーナツとは、別のお菓子のように感じます。
揚げたての、ふわふわで温かいところをいただくおいしさは、何度作っても毎回、感動に近いものがあります。
このドーナツは、今までに一体何十回作ったことでしょう。普段のおやつに、そして、子どもや私の友達が来た時のおもてなしに。子どもも大人もみんな「こんなにおいしいドーナツは初めて食べた。」と言ってくれる。
なぜ、「今まで食べたドーナツと違う。」と言われるのかというと、まず、パン生地で作るからふわっとしていて、さらにそれを家で作るから、揚げたての一番おいしい時に食べられるというのが大きいと思います。(それから、他のパンを作った時に、生地の一部をドーナツにして揚げたりすることもありますが、やはり、ドーナツはこの配合の方がおいしい。)
生地の半分をドーナツにして、残り半分をピロシキにすると、2種類の味が楽しめます。ピロシキも揚げたてを味わえるから、そんな時には、やっぱりホームメイドっていいなぁと思います。
上のドーナツの写真は、以前に料理写真家の長嶺輝明氏の「クッキング・フォトグラフ講座」(池袋西武コミュニティクラブ)に通っていた時に、宿題として提出したものです。月1回、半年コースの講座でしたが、毎回、決められたテーマの写真を撮ってくるという宿題が出ます。一眼レフカメラを使ってポジフィルムで写真を撮り、スライドにして持って行き、授業の始めに先生に渡します。そして、先生が皆の写真を1枚ずつスクリーンに大きく写し、批評してくれます。
私は、他の生徒さんの写真の感覚と技術レベルの高さに圧倒されながら、やっとの思いでついていこうとしていたように思います。
最終回の授業の宿題は、撮った写真をスライドではなく、好きな額に入れて部屋に飾れるようにしてくるというものでした。その時、私はこのドーナツの写真を白い縁の額に入れて提出しました。
先生は、「被写体を具体的に撮りすぎているので、長く部屋に飾っておくと飽きてしまう。もっと抽象的な撮り方をしたほうがいい。」とアドバイスして下さいました。
確かに写真を額に入れるということは、長く部屋に飾ることを前提とした写真にするべきだったのです。とはいっても、当時の私にはこれが精一杯でした。
その後、何年か、写真講座の思い出としてこの写真の額をリビングに飾っていました。確かに長く見ていると飽きてしまう写真のように思いましたが、見るたびにこのドーナツのおいしさを思い出すので、何か特別の思いを持って写真を眺めていたと思います。
写真講座に行ったのは、もう7年位前のことですが、夜7時から9時までの遅い時間帯だったので、幼かった子ども達をベビーシッターさんに預けてやっとの思いで通っていました。
それまで、自分の料理教室の記録として単調な写真を撮り続けていた私でしたが、この講座で学んだおかげで、写真をひとつの作品と考えながら撮るという意識を持つきっかけになったように思います。ドーナツの写真は、そのスタート地点の私の写真として、思い出深いものです。
作品と言えるような写真は未だになかなか撮れずにいますが、それを目標にすることで写真に対する意識が違ってくると、いつも自分に言い聞かせています。
今の目標としては、文章を書かなくても写真1枚で自分の気持ちを伝えられる、そんな写真がいつか撮れるようになれたらいいなと、思っています。
(Life styleページの「料理写真の撮り方」も併せてご覧ください。料理写真講座については、「料理の本の仕事」の中でも少し書きました。)
2004.12.15
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