玉葱のタルト


もうずいぶん昔のことになりますが、フランス語の勉強のためにパリ南方100kmの町、オルレアン(Orléans)に1年間住んでいたことがあります。当時、私はロータリークラブの給費留学生だったので、現地のロータリークラブ会員の方々からご自宅に食事に招かれる機会が数多くありました。

そのおかげで、フランスの家庭で様々なお料理を教わりました。10数家庭に何度も招いていただいて、その度にお料理も習いたいからとお願いしてエプロン持参で早めに伺い、一緒に作らせていただきました。そして、新しい料理に出会うたびに、写真を撮ってレシピカードを作っていました。

右の写真がその時のレシピカードですが、数えてみると100枚くらいになります。どれも思い出深いものばかりで、フランスのマダム達の温かい気持ちが詰まっています。そしてすべてが、今の私の料理のベースになっています。

フランスの家庭では、タルトを本当によく作ります。タルトと言うと、日本ではお菓子を思い浮かべますが、フランスには、オードブルとしての塩味のタルトも色々あります。玉葱のタルト、ほうれん草のタルト、プチトマトのタルト、ポロ葱のタルト、きのこのタルト・・・
マダム達は、生地を一度にたくさん作って冷蔵庫に入れておいて、「今日はオードブルにトマトのタルトを作って、明日はデザートをりんごのタルトにしましょう。」というふうに、うまく使いまわしていました。

この玉葱のタルトは、家庭でもおそうざい屋さんでも必ず見かける代表的なものです。玉葱だけなのに、玉葱ってこんなに甘くて香り高い野菜だったの?と新たな発見を感じるようなタルトです。フランスの家庭で習ったお料理の中でも、最も気に入っているものの1つです。
(フランスの家庭のお料理に関しては、Recipes & essay ページの「ポーピエット」の中でも書きました。併せてご覧ください。)




Tarte aux oignons 
 タルト    オ     ゾニョン

玉葱のタルト

*材料(直径20cmのタルト型1台分)

玉葱(薄切り) 1個、 卵 1個、 ピザ用チーズ 80g 
生クリーム 100cc、 バター 30g、 塩、胡椒 各適量

生地:
薄力粉 150g、 バター(小さく切る) 75g、 卵黄 1個分 
水 大さじ2、 塩 1つまみ

*作り方
(1)生地を作る。ボウルに薄力粉とバターを入れ、バターの粒がなくなるまで手でバターをつぶしながらよく混ぜる。卵黄と水を合わせたものを、生地の柔らかさを見ながら少しずつ加えて全体になじませ、1つにまとめてラップでくるんで冷蔵庫で15分くらい休ませる。

(2)打ち粉をしながら、めん棒で生地を型より一まわり大きくのばし、タルト型の上にのせる。サイドを一周、生地を型に指で押し付けながら形作り、余った生地は型の上からめん棒を転がして切り取る。

(3)お箸を生地の底にさして空気穴を10箇所くらい開ける。(空気穴を開けないと、焼いているうちに生地が膨らんで上に盛り上がってしまう。フォークでさすより、お箸のほうが空気穴が大きくて効果が高い。)

(4)タルトの生地を空焼きすると、サイドの生地が焼いている間に下がってくることがあるので、それを防ぐために次の事をします。(ホイルの上に錘の金属や小豆をのせて焼く方法もありますが、ホイル1枚ぴったりと敷けば、それだけでも大丈夫なので、私はいつもこの方法でやっています。)
まず、型に敷いた生地を冷凍庫で5分ほど冷やして少し固める(次のアルミホイルをかぶせる時、生地の形が変わらないようにするため)。 アルミホイルを生地の上にのせ、内側のサイドの角もぴったりと指で押しながら全体に敷き詰める。上に余ったホイルは自然に外向きにたおしておく。この時、縁の生地全部にホイルがかかるようにする(ホイルからはみ出ている生地があると、そこだけ焦げてくるので注意)。ホイルにもぺティナイフなどで1cm長さの空気穴を2箇所開ける。

(5)200℃に予熱したオーブンで15分くらい焼き、ホイルをはずしてからさらに5分焼く。(ホイルをはずす時に、生地がホイルにくっついてくるようだったら、まだ早いのでもう少し焼く。必ず、ホイルがさっと外れるようになるまで生地が焼けて固まるのを待つ。無理にはずすと、焼いている途中の生地は柔らかくて破れやすいので注意。)

(6)玉葱をバターでしんなりするまで炒め、生クリームを加えて煮立てる。火から下ろして卵とチーズを加え混ぜる。塩、胡椒で味を調える。(卵はつなぎの役目でオーブンで焼いている間に固まります。鍋に入れた時は火にかけないように注意。)

(7)(6)を空焼きしたタルト台に流し入れる。(このタイミングが大切で、空焼きした生地が熱いうちに中身を入れないと、空気穴から生クリームが流れ出てしまいます。だから、(6)の作業は、オーブンので焼いている生地のホイルをはがした後で始めるとちょうどいいです。あまり早くやってしまうと、冷めてきてチーズが固まってしまい、タルトの中に入れにくくなってしまいます。つまり、生地も中身も熱いうちに入れるのがベストです。)

(8)180℃のオーブンで、生地が固まるまで15分くらい焼く。



Back





Tarte aux oignons

フランスの家庭で習った料理のレシピカード。
写真をクリックすると、拡大します